四国こんぴら歌舞伎大芝居
四国こんぴら歌舞伎大芝居
2025年第38回 四国こんぴら歌舞伎大芝居
旧金毘羅大芝居は、天保6年(1835)に建築された現存する日本最古の本格的芝居小屋である。
昭和45年(1970)、学術的かつ文化的価値を認められ国の重要文化財の指定を受け、昭和47年から4年間の歳月をかけて現在の場所に移築復原し、江戸時代の姿のそのままに蘇った。
「四国こんぴら歌舞伎大芝居」は、昭和60年(1985)6月の初公演以来、四国路に春を告げる風物詩として毎年開催され、町をあげて取り組む地域振興のイベントとして、全国からの歌舞伎ファンを魅了し続けている。
平成15年(2003)、旧金毘羅大芝居では、耐震構造補強工事(平成の大改修)が行われ、併せて長年、観劇の妨げとなっていた4本の鉄柱も取り除かれた。さらに調査の際、「ブドウ棚」と「かけすじ」の痕跡が発見され、これを復原。旧金毘羅大芝居は細部にわたり、江戸時代の情緒あふれる芝居小屋を再現することができました。
また、舞台と客席が一体化となった劇場空間に、復原された仕掛けを活用する事でより一層、上演される演目の幅も広がりを見せている。
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金丸座 -
金丸座
演目解説
こんぴら春の風物詩として毎年人気の「四国こんぴら歌舞伎大芝居」。ここではその演目の解説をいたします。
一、彦山権現誓助剣 毛谷村(ひこさんごんげんちかいのすけだち けやむら) 一幕
豊前国彦山の麓の毛谷村に住む剣術の名手・六助は、微塵弾正と名乗る浪人から「老母のために仕官して孝行したい」と頼まれ、領主の前で行われた剣術試合でわざと勝ちを譲ります。そんな六助のもとへ現れたのは、一人の虚無僧。六助を仇と誤解して斬りかかった虚無僧でしたが、実はその正体は六助の師匠である吉岡一味斎の娘・お園で、互いに面識はなかったものの二人は許嫁の仲だったのです。一味斎が京極内匠という悪人の武士に討たれたと聞いた六助は、自身を陥れる計略に気付き……。
好人物で腕の立つ六助は、江戸時代の庶民から広く愛されてきました。また、男顔負けの剣術を見せるお園は「女武道」と呼ばれる役柄。六助が自分の許嫁だと知り、女性らしい仕草で色気を見せる一面も。二人のやりとりが魅力的な、義太夫狂言の名作をお楽しみください。
二、新皿屋敷月雨暈 魚屋宗五郎(しんさらやしきつきのあまがさ さかなやそうごろう) 二幕
江戸は芝神明で魚屋を営む宗五郎が、妹・お蔦の弔いを行っていました。磯部主計之助という旗本のもとで奉公していたお蔦は、不義を働き、手討ちにされてしまったのです。しかし、実はお蔦に横恋慕した者による虚偽の訴えが原因ということが明らかに。大の酒好きで、しかも酒乱の質があるので酒を断っていた宗五郎ですが、妹を殺された悔しさから立て続けに酒を飲み、磯部邸に暴れ込みます……。
作者の河竹黙阿弥が、五世尾上菊五郎から「酒乱の役を演じたい」と言われて書き下ろしたという本作。一杯、二杯、三杯と酒を飲み進めるにつれて人格が変わっていき、磯部邸へと向かっていく宗五郎の「引っ込み」が見せ場の一つです。
一、蜘蛛の拍子舞(くものひょうしまい) 長唄囃子連中
荒れ果てた空御所に物の怪が出現すると聞き、検分のため逗留する源頼光一行。そこへ突如現れた白拍子・妻菊を怪しみ問答を進めるうちに、一行は拍子舞を舞い始めます。妻菊の影が蜘蛛に見えることに気付き、頼光が斬りかかると、妻菊は千筋の糸を繰り出し……。
名剣についての問答、頼光一行が歌いながら踊る拍子舞、女郎蜘蛛の精との大立廻りと、歌舞伎の醍醐味を存分にご堪能ください。
二、眠駱駝物語 らくだ(ねむるがらくだものがたり)
江戸の裏長屋に住む遊び人の「らくだ」こと馬太郎が死んだことから、物語は始まります。遊び人仲間・手斧目の半次が馬太郎の弔いについて思案していたところ、紙屑買の久六がやってきて、巻き込まれることに。弔いに必要な供物を長屋の家主に頼むと、拒否された上に「死人のカンカンノウを見てみたいものだ」と言われ、半次は久六の唄に合わせ馬太郎の死骸を抱えて踊り出します。これに参った家主は望みを叶えますが、供物の酒を飲み始めると、次第に朴訥な久六が半次に絡み始め……。
正直者の久六と粗暴な半次という対照的な二人がコミカルでテンポのよいやり取りを見せ、江戸後期に庶民の間で流行った「カンカンノウ」を唄い踊る場面も笑いを誘います。さらには、酒を飲み始めた二人の関係が入れ替わる過程が大きな見どころとなっています。
出演者
四国こんぴら歌舞伎大芝居は、当世の人気役者による公演が行われ、全国から集まる歌舞伎ファンを魅了しています。
◆ 中村 獅童(なかむら しどう) 二代目 萬屋
1972年9月14日生まれ。初世中村獅童の長男。祖父は三世中村時蔵。いとこに中村歌六、中村萬壽、中村又五郎、中村錦之助がいる。81年6月歌舞伎座『妹背山婦女庭訓』豆腐買の娘おひろで二代目中村獅童を名のり初舞台。98年名題適任証取得。四国こんぴら歌舞伎大芝居には初出演となる。
◆ 中村 時蔵(なかむら ときぞう) 六代目 萬屋
1987年11月22日生まれ。中村萬壽の長男。91年6月歌舞伎座『人情裏長屋』鶴之助で初お目見得。94年6月歌舞伎座『幡随長兵衛』倅長松と『道行旅路の嫁入』旅の若者で四代目中村梅枝を襲名し初舞台。24年6月歌舞伎座『妹背山婦女庭訓』お三輪ほかで六代目中村時蔵を襲名。四国こんぴら歌舞伎大芝居には10年ぶり2回目の出演となる。
◆ 中村 萬太郎(なかむら まんたろう) 初代 萬屋
1989年5月12日生まれ。中村萬壽の次男。94年6月歌舞伎座『道行旅路の嫁入』旅の若者にて初代中村萬太郎を名のり初舞台。12年12月新橋演舞場『御摂勧進帳』山城四郎義就ほかで名題昇進。四国こんぴら歌舞伎大芝居には初出演となる。
◆ 中村 陽喜(なかむら はるき) 初代 萬屋
2017年12月18日生まれ。二代目中村獅童の長男。22年1月歌舞伎座『祝春元禄花見踊』奴喜蔵にて小川陽喜の名で初お目見得。24年6月歌舞伎座『新皿屋舗月雨暈』魚屋宗五郎の丁稚与吉ほかで初代中村陽喜を名のり初舞台。四国こんぴら歌舞伎大芝居には初出演となる。
◆ 中村 夏幹(なかむら なつき) 初代 萬屋
2020年6月27日生まれ。二代目中村獅童の次男。23年12月歌舞伎座『今昔饗宴千本桜』夏櫻丸にて小川夏幹の名で初お目見得。24年6月歌舞伎座『新皿屋舗月雨暈』魚屋宗五郎の丁稚長吉ほかで初代中村夏幹を名のり初舞台。四国こんぴら歌舞伎大芝居には初出演となる。
◆ 中村 錦之助(なかむら きんのすけ) 二代目 萬屋
1959年9月29日生まれ。四世中村時蔵の次男。64年7月歌舞伎座『宮島のだんまり』梢ほかで中村信二郎を名のり初舞台。98年名題適任証取得。07年4月歌舞伎座『鬼一法眼三略巻』虎蔵実は牛若丸、『双蝶々曲輪日記』放駒長吉で二代目中村錦之助を襲名。四国こんぴら歌舞伎大芝居には13年ぶり4回目の出演となる。
◆ 河原崎 権十郎(かわらさき ごんじゅうろう) 四代目 山崎屋
1954年2月6日生まれ。十七世市村羽左衛門の三男。60年9月明治座『土蜘』石神で坂東正邦の名で初お目見得。61年6月歌舞伎座の「口上」で坂東正之助を名のり初舞台。03年5月歌舞伎座『幡随長兵衛』水野十郎左衛門ほかで四代目河原崎権十郎襲名。四国こんぴら歌舞伎大芝居には25年ぶり3回目の出演となる。
◆ 澤村 精四郎(さわむら きよしろう) 二代目 紀伊国屋
1978年6月9日生まれ。88年7月歌舞伎座『義経千本桜』子狐で初舞台。95年3月澤村藤十郎に入門し、5月金丸座『廓文章』吉田屋若い者で澤村國矢を名のる。10年2月歌舞伎座『籠釣瓶花街酔醒』若い者千吉で名題昇進、24年12月歌舞伎座『あらしのよるに』ばりいほかで二代目澤村精四郎を襲名する。四国こんぴら歌舞伎大芝居には10年ぶり11回目の出演となる。
◆ 中村 萬壽(なかむら まんじゅ) 初代 萬屋
1955年4月26日生まれ。四世中村時蔵の長男。60年4月歌舞伎座『嫗山姥』童ほかで三代目中村梅枝を名のり初舞台。81年6月歌舞伎座『妹背山婦女庭訓』お三輪ほかで五代目中村時蔵を襲名し名題昇進。24年6月歌舞伎座『山姥』山姥ほかで初代中村萬壽を襲名。四国こんぴら歌舞伎大芝居には10年ぶり8回目の出演となる。
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